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【2024年パリ・オリンピック・レビュー(15)】男子フリースタイル74kg級/優勝選手・表彰式・闘いのあと

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(2024年8月9~10日、フランス・パリ)


【男子フリースタイル74kg級】
Jamalov, Razambek(ラザムベク・ジャマロフ=ウズベキスタン)

(撮影=保高幸子)

(撮影=保高幸子)

 1998年7月1日生まれ、26歳。ロシアでレスリングが盛んなダゲスタン共和国で生まれ、2016年7月の「アリ・アリエフ国際大会」で国際舞台にデビュー。2018年世界ジュニア(現U20)選手権70kg級2位、2019年U23世界選手権優勝、2020年ロシア選手権優勝の実績で2021年東京オリンピック出場を目指したが、2018・19年世界王者のザウルベク・シダコフの壁を破れなかった(代表決定戦で2-3の惜敗)。

 負傷でブランクのあと、2022年にロシア選手権で優勝。2024年にウズベキスタン国籍に変え、6月の「イムレ・ポリヤク&ヤノス・バルガ国際大会」で優勝。同じウズベキスタンのベクゾド・アブデュラフモノフを上回り、パリ・オリンピックの代表に選ばれた(国内で両選手の代表決定戦があったかどうかは不明)。パリでは元ロシア国籍の4選手を破ったあと、決勝で高谷大地にフォール勝ち。ウズベキスタンとして2004年のアテネ大会以来の金メダルを獲得した。

 ■74kg級:ラザムベク・ジャマロフ(ウズベキスタン)「金メダルへの道は容易ではありませんでした。5試合とも難しい試合でした。以前にも対戦した相手が何人かいます。いずれも簡単に勝つことはできませんでしたが、なんとか勝つことができました。

 決勝の相手(高谷大地)は脚の使い方がとても上手なので、それをコントロールして、自分のテクニックで攻めようと考えました。それが私の主な作戦で、私の術中にはめようと試みました」


《1回戦~決勝の成績トーナメント表
決 勝 ○[フォール、2:12=5-0]高谷大地(日本)
準決勝 ○[8-2]Rassadin, Viktor(タジキスタン)
3回戦 ○[6-5]Valiev, Chermen(アルバニア)
2回戦 ○[11-3]Salkazanov, Tajmuraz Mairbekovic(スロバキア)
1回戦 ○[8-0]Kadzimahamedau, Mahamedkhabib(AIN=ベラルーシ)

(撮影=保高幸子)

[2]高谷大地(日本)
[3]Dake, Kyle Douglas(米国)
[3]Valiev, Chermen(アルバニア)
[5]Rassadin, Viktor(タジキスタン)
[5]Cabolov, Hetik(セルビア)


4年後のオリンピック金メダルを目指す…慶大の創部90周年祝賀会に約150人

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 1934年(昭和9年)に創部された慶大レスリング部の創部90周年祝賀会が9月21日、東京・銀座にある福沢諭吉ゆかりの交詢社で行われ、約150人が節目を祝った。

 今年は女子68kg級の尾﨑野乃香(4年)が、同部としては1952年ヘルシンキ大会の北野祐秀(フリースタイル52kg級)以来のオリンピック出場を果たし、附属の慶應高校が57年ぶりにインターハイ学校対抗戦に出場、同個人戦80kg級で岡澤ナツラが1960年の八田忠朗(元米国代表チーム・コーチ)以来の優勝を果たすなど、乗りに乗っている中での記念式典となった。

 会では、7月1日に就任したばかりの加茂具樹部長が「8月末に練習を見学に行き、生き生きと、そして楽しそうに練習に励んでいる選手を見て心強く思いました。楽しさと強さの両立は難しいと思いますが、リーダーが尽力し、部の発展につなげていってくれるものと思います。皆様のご支援をお願いします」とあいさつ。

▲加茂具樹部長のあいさつ

 三田会(OB会)の皆本幸造会長が「昭和の後半に部員の確保が難しくなり、低迷した時期がありました。90周年を迎えるにあたり、72年ぶりに尾﨑選手がオリンピック出場を果たし、高校もインターハイ学校対抗戦に出場し、90周年に華を添えてくれました。生やさしい道ではないと思いますが、選手達は伝統を守っていってくれるものと確信しています。100周年、110周年でも皆様と祝杯をあげたいと思います」と話し、引き続きの支援をお願いした。

 来賓として出席した日本協会の富山英明会長が「尾﨑選手は(パリでは)優勝する実力は十分にあったが、日本チーム最初の試合ということで(動きが硬く)実力を出し切れなかった。銅メダルを取ってくれたことで、あとから出場した選手はリラックスして試合ができ、金メダル8個という結果につながった。4年後のロサンゼルスと8年後のブリスベンでこそ金メダルを取り、100周年を飾ってほしい」と激励。

 インターハイで優勝した岡澤ナツラは同会長と同じ茨城県出身の選手。それだけに期待しており、「将来が楽しみです。慶應や早稲田といった大学がレスリング界を引っ張っていかないと発展はない」と続けた。

▲祝辞を述べる日本協会・富山英明会長

 同部から72年ぶりにオリンピック出場を果たし、銅メダルを取った尾﨑は「皆さんのおかげで銅メダルを取ることができました。自分だけの力ではできませんでした。たくさんの方のおかげでここにいます。金メダルを獲得したかった思いは強くあります。今までの頑張りを否定したくはないですが、金メダルに届かなかったことを重く受け止め、今後の4年間、しっかり頑張っていきたいと思います」と、ロサンゼルス大会での金メダル獲得を宣言。

 64年ぶりのインターハイ王者となった岡澤は「90年の歴史は、数多くの選手の努力とOBの方々の熱い情熱によって支えられていると思います。今年のインターハイ学校対抗戦では3回戦で敗れてしまいましたが、個人戦で2人が決勝に進み、自分が優勝することができました。来月の国民スポーツ大会でも頑張り、後輩にいいバトンを渡したい」と、今後の健闘を誓った。

▲選手を代表してあいさつするパリ・オリンピック代表の尾﨑野乃香と、インターハイ王者の岡澤ナツラ

 最後に三田会の藤田由美理事長が「皆さんは道場の汗とマットのにおいを思い出して懐かしく思われたことと思います。そういうことを共有できる仲間との集まりが、この会です。次は100周年です。頑張りましょう」とあいさつし、90周年を締めた。

 慶大は2016年の東日本学生リーグ戦二部リーグで優勝し、入れ替え戦も勝って、翌年、45年ぶりに一部リーグで闘った。コロナによる2度の中止をはさんで2022年に二部リーグへ戻ったが、今年の大会で二部リーグ優勝を果たした。

 しかし、同リーグの改編のため来年も二部リーグでの試合。これまでの6~8チームでの闘いから12チームでの闘いを勝ち抜かねば一部リーグへ昇格できない厳しい闘いとなるが、慶應高校の強豪選手が進学予定で、インターハイ優勝経験者を擁するチームで、その壁に挑む。

▲慶大選手の紹介

▲慶應高校選手の紹介

▲会場内のビジョンでは慶大の歴史が繰り返し上映された

▲応援団とチアガールによる激励

【2024年パリ・オリンピック・レビュー(16)】男子フリースタイル86kg級/優勝選手・表彰式・闘いのあと

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(2024年8月8~9日、フランス・パリ)


【男子フリースタイル86kg級】
Ramazanov, Magomed Eldarovich(マゴメド・ラマザノフ=ブルガリア)

(右がラマザノフ。左は決勝の相手のハッサン・ヤズダニチャラティ。撮影=保高幸子)

(撮影=保高幸子)

 1993年5月22日生まれ、31歳。74kg級で優勝したラザムベク・ジャマロフ(ウズベキスタン)と同じロシア・ダゲスタン共和国出身。いくつかの国際大会での上位入賞を経て、2018年に世界軍隊選手権86kg級と「ジオルコフスキ国際大会」(ポーランド)79kg級で優勝して飛躍したが、2021年東京オリンピックには出場できなかった。

 2024年にブルガリア国籍を取得。欧州選手権8位、パリ・オリンピック欧州予選6位と当初は調子が出なかったものの、5月の最終予選を勝ち抜いてパリのマットへ。オリンピックでは、決勝で2度目のオリンピック優勝を目指すハッサン・ヤズダニチャラティ(イラン)を破って優勝した。ブルガリアの男子フリースタイルでは、1996年アトランタ大会のバレンチン・ヨルダノフ(男子フリースタイル52kg級)以来、28年ぶりのオリンピック・チャンピオン。

 ダゲスタン共和国出身で元UFCライト級チャンピオンのハビブ・ヌルマゴメドフ(UFCで29戦無敗)に似ており、総合格闘技ファンの間で兄弟説も出たが、血縁関係はない。

 ■86kg級:マゴメド・ラマザノフ(ブルガリア)「私はロシアの小さな町の出身で、家族は私がここに来るために本当に一生懸命働いてくれました。本当に光栄です。家族のために金メダルを獲得しました。神に感謝し、数年前に亡くなった父にこのメダルを捧げたいと思います。父は、私をとても誇りに思ってくれると思います。

 (決勝の相手のヤズダニチャラティ-は手術した右肩を再度負傷し、試合中に5度、治療を受けたが)彼はもう一方の腕だけで闘い、素晴らしいファイターでした。ただ、オリンピックはコンディションがいいときにできるとは限らない。それが、このスポーツをとても難しいものにしています。ブルガリアは私の第二の故郷です。この国は、私に世界中の最高のアスリートたちとオリンピックで競う素晴らしい機会を与えてくれました。次のオリンピックに出場できるかどうか分からないので、精神的に本当に大変でした」


《1回戦~決勝の成績》トーナメント表
決 勝 ○[7-1]Yazdani Charati, Hassan Aliazam(イラン)
準決勝 ○[4-3]Brooks, Aaron Marquel(米国)
2回戦 ○[フォール、3:39=4-1]Shapiev, Javrail(ウズベキスタン)
1回戦 ○[VSU、4:27=12-2]Moore, Alexander Robert(カナダ)

(UWWサイトより)

[2]Yazdani Charati, Hassan Aliazam(イラン)
[3]Brooks, Aaron Marquel(米国)
[3]Kurugliev, Dauren(ギリシャ)
[5]Shapiev, Javrail(ウズベキスタン)
[5]Amine, Myles Nazem(サンマリノ)

【特集】同僚2人の快挙にも焦らず、「4年後に向けてギアを上げていけばいい」…男子フリースタイル86kg級・髙橋夢大(三恵海運)

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(文=布施鋼治)

 2028年のロサンゼルス・オリンピックに向って一直線! 今夏のパリ・オリンピックで2人の金メダリストが誕生した三恵海運。負けてなるものか、とばかりに同社所属の男子フリースタイル86㎏級の髙橋夢大が燃えている。10月は国民スポーツ大会とU23世界選手権が控える。

「連戦になるけど、しっかり調整しようという感じです」

▲国民スポーツ大会とU23世界選手権へ向けて練習する髙橋夢大(三恵海運)

 U23世界選手権の開催地アルバニアでは、続いて非オリンピック階級の世界選手権も開催され、弟の髙橋海大(日体大)がU23世界選手権74kg級に、非オリンピック階級の世界選手権は79㎏級に、それぞれ出場する。

 「最近は弟の方が結果を残していて、今年のアジア選手権でも優勝している。正直、焦っている部分もあります。気持ちをいったん落ち着かせて、4年後のロサンゼルスに向け少しずつギアを上げていきたい」

 発奮材料は弟の活躍だけではない。今春まで髙橋も在籍し、いまも練習の拠点とする日体大からは女子も含めると5人もの金メダリストを輩出したことも大きな発奮材料になっている。

 「取るとは思っていたけど、ここまですごいとは思っていなかった。でも、同じマットで練習している選手が目標を達成していることを考えたら、自分にも可能性があることを実感できました。目の前に『こういうふうにすればいいんだ』という見本があるわけですからね。最高の練習環境だと思います」

▲今年3月の「ヤシャ・ドク&ベービ・エムレ国際大会」(トルコ)で銅メダルの髙橋夢大(右端)。U23世界選手権では優勝が目標=チーム提供

清岡幸大郎の金メダルは、「絶対にさわらない!」

 兵庫県神戸市に本社を置く社員13人の三恵海運からは、パリで男子グレコローマン77㎏級の日下尚と男子フリースタイル65㎏級の清岡幸大郎が金メダルを獲得した。選手は5人。

 「所属の半分近くの選手がオリンピック・チャンピオンになったことは誇らしい。その一方で、同じ競技者として悔しい部分もある」

 中でも、清岡は同期で今春そろって卒業。現在はマンションをシェアして住む仲だ。髙橋は「手本となるところは見習いたい」と語る。

 「僕は、時に夜ふかしをするときもあるけど、清岡は決まった時間に寝ている。彼はオンとオフの切り替えが上手で、休日にはけっこう外出してリラックスしている。自分は、どちらかというと動くのが面倒くさくなって、オフでもずっと家にいて、リフレッシュするのが下手。清岡を見ていると、レスリング以外のところも大事なのかなと思いますね」

▲湯元健一コーチの技術指導を受ける髙橋(中央)

 そんな髙橋は、ひとつだけ決めていることがある。清岡が獲得した金メダルが入っている袋は絶対触らないようにしていること。「首にも絶対かけません。自分の金メダル以外はいらないと思っているので」

 髙田肇社長(大体大レスリング部OB)からは「悔しいだろうけど、そんなに焦るな」と釘を刺されている。「4年後のロサンゼルスで勝てばいい」

「試合を重ねるごとに自分が成長していけたらいい」

 髙橋は長期的な青写真を描く。「清岡は去年の天皇杯(全日本選手権)で乙黒拓斗選手に勝って、その勢いでオリンピックまで行った。最後に勝つことが必要。最後に勝てなかったら、意味はない。実際、そういう選手を何人も見ているので、最後に勝てる選手になりたい」

 京都・網野高在籍の2019年にシニアの世界選手権(カザフスタン)に初出場を果たすなど、髙橋は早い時期から将来を嘱望された存在だった。レスラーとしての特色は高校時代から突出していたフィジカル。髙橋も「自分はパワータイプ」という自負がある。

▲2019年に17歳で世界選手権(カザフスタン)に出場した髙橋夢大。ロシア選手に善戦した

 「細かいことは苦手というのもあるけど、ある程度自分のレスリングの形はできてきたと思う。ただ、細かい部分で取れなかったりすることが多いので、そこはより進化しないといけない」

 今年5月の明治杯全日本選抜選手権では、ノルディック方式の予選リーグ、決勝トーナメントともに2022年U23世界王者の白井達也(佐賀県スポーツ協会)に辛酸をなめさせられた。それでも、髙橋は「自分は負けて強くなっている」と語気に力を込めた。「勝ち続けて成長できればいいと思うけど、そんなにうまくはいかないでしょう。これからも勝ったり負けたりすることもあるだろうけど、試合を重ねるごとに自分が成長していけたらいいと思っています」

 日本人離れしたフィジカルで世界をつかめ。

2024年ビーチレスリング・ワールドシリーズ第4戦

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(2024年9月21~22日、ギリシャ・カテリニ)

《result》 ※男子=13ヶ国49選手、女子=9ヶ国40選手

【監督兼審判】保坂和哉(山梨・農林高教)


男子

 【80㎏級】阿部宏隆(茨城・水戸市スポーツ少年団)  13位=14選手出場《トーナメント表》
ノックアウトマッチ ●[VSU、2:59=5-1]Makharadze, Diego(ジョージア)

------------------------------

 【90㎏級】今村太陽(福島・いわき市教室)  12位=12選手出場《トーナメント表》
予選リーグ3回戦 ●[VSU、0:20=0-3]Yusubov, Ibrahim(アゼルバイジャン)
予選リーグ2回戦 ●[0-2]Gremm, Kevin(ドイツ)
予選リーグ1回戦 ●[VSU、0:47=3-0]Karachenko, Demid(ウクライナ) 

------------------------------

 【+90㎏級】天野雅之(中央大学職員)  6位=13選手出場《トーナメント表》
予選リーグ3回戦 ●[1-2]Ferriter, Kyle Robert(米国)
予選リーグ2回戦 ○[VSU、1:10=3-0]Rangel, Gabriel Carlos(米国)
予選リーグ1回戦 ○[VSU、2:01=3-0]Dominic Blake PORTER(米国)

10.8~11世界ベテランズ選手権(クロアチア)に13選手が出場

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 10月8日(火)~13日(日)にクロアチア・ポレチュで行われる2024年世界ベテランズ選手権のフリースタイルに、下記の13選手が出場する。フリースタイルは8~10日に行われる。

 2019年大会は5選手が優勝。コロナによる開催中止と派遣なしをはさんで、昨年、4年ぶりに参加し、1選手(古里光司=神奈川・磯子工高教、Division B)が優勝した。今年は、DivisionBに出場する藤本健太(三恵海運)坂本将典(SKレスリングアカデミー)が、2019年以来、2度目の優勝に挑む。

 Division Aには、今年5月の明治杯全日本選抜選手権の男子グレコローマン97kg級で優勝した天野雅之(学校法人中央大学職員)が初出場する。一昨年の全日本選抜王者の井上智裕(FUJIOH)が昨年の大会に出場した例はあるが(銀メダルを獲得)、現役の全日本選抜王者がこの大会に出場するのは初めて。

 大会スケジュールと日本選手団は下記の通り。

▲現役の全日本選抜王者として世界ベテランズ選手権に挑む天野雅之(学校法人中央大学職員)


大会スケジュール(グレコローマンは11~13日=省略)

10月 8日(火)Division B・E/1回戦~決勝
   9日(水)Division C・D/1回戦~決勝
  10日(木)Division A/1回戦~決勝


日本選手団・役員

【監 督】勝目力也(全日本マスターズ連盟強化委員長)
【コーチ】岡田英雅(全日本マスターズ連盟副理事長/総務委員長)

【帯同審判】若佐篤実(福山通運)、浦田享(藤園南幼稚園)


日本選手団・出場選手

 【Division A(35歳以上40歳以下)】
▼62kg級 髙ノ山翼(岐阜市消防本部)
▼62kg級 中村 大(AKAZA)
▼70kg級 黒崎辰馬(神戸医療未来大学教員)
▼78kg級 大谷健輔(学校法中央大学職員)
▼88kg級 奈良部嘉明(筑西広域消防本部)
▼100kg級  天野雅之(学校法人中央大学職員)

 【Division B(41歳以上45歳以下)】
▼62kg級 藤本健太(三恵海運)
▼70kg級 坂本将典(SKレスリングアカデミー)
▼100kg級  幸野 亨(静岡・三島高校OB)

 【Division C(46歳以上50歳以下)】
▼62kg級 吉田誠治(Ap-speed)

 【Division D(51歳以上55歳以下)】
▼62kg級 加藤進之(豊島区レスリング協会)
▼100kg級  榊原啓三(神奈川大学グラロス)

 【Division E(56歳以上60歳以下)】
▼62kg級 黛義幸(富実レスリングクラブ)

《ネット中継》2024年西日本学生選手権・第1日(男子グレコローマン)

【特集】2028年へ向けて始動した日体大、オリンピック優勝で天狗になる懸念は「この環境の中では絶対にありません!」(松本慎吾監督)-(下)

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《上から続く》

 パリ・オリンピックでOBと学生選手が金メダル5個を取った日体大。すでに2028年ロサンゼルス・オリンピックへ向けての闘いをスタートしており、パリの再現を目指す。指揮する松本慎吾監督に聞いた。


今でも選手と練習、体を張っての指導を続ける

--日本が金メダル8個を取ったパリ・オリンピックですが、日体大のOBと学生選手で金5個です。自分の指導方法に間違いはなかった、と感じたのではないでしょうか。

松本 2009年から指導を始め、15年が経ちました。ナショナルチームのコーチを引き受けた期間は、2016年リオデジャネイロと2021年東京の銀メダルが最高でした。その結果を受けて今回の結果があったのかな、と思います。その間、指導者としての勉強もしてきました。現役時代からを通じて日体大の藤本英男・前部長や自衛隊の伊藤広道監督、指導に回ってからは2012年ロンドン大会までの佐藤満強化委員長などで、そこから学んだ指導方法を今の時代に合ったものに変えて実行してきたことが、この成果に表れたと思っています。

--選手の気質や社会の目も変わっていますよね。昔は、厳しくされ、その反発心がエネルギーになったケースもありましたし、活字にはできないようなことも行われていました。今は、“しごき”と思われるようなことはできないし、手足は絶対に出してはならない。ご自分の選手時代のやり方では駄目、といった難しさがあったのではないしょうか。

松本 (苦笑)。まだ体が動くので、選手と一緒に練習しています。口だけではなく、体を張って選手を育てるという方針は貫いてきました。そうした練習の中で選手が育ち、選手が世界との距離を身近に感じ、世界チャンピオンを現実的に感じてくれたと思います。私が現役時代だったときより、「世界で勝てる」と思って、世界一を身近なものとしてとらえていることは感じます。

▲46歳になったが、学生王者より強い、とまで言われる松本慎吾監督。体を張った指導の成果が出た

--以前の、特にグレコローマンは、アジアを2度制した松本監督や世界2位の笹本睦コーチは別として、心底から「世界一になる」と思っていた選手は少なかったように感じます。今回の文田健一郎選手や日下尚選手、結果は出せませんでしたが曽我部京太郎選手からは、金メダルを目指す本気度がひしひしと伝わってきました。

松本 その思いは感じました。オリンピック前、味の素トレーニングセンターでの代表チームの直前合宿へ行って、2日間でしたが選手と練習もしました。心身ともに最高の状態へ持っていっていることを感じ、これなら大丈夫、と思って送り出しました。大会中は(時差の関係で)真夜中でしたが1試合ごとにチェックし、応援していました。

樋口黎との連日の練習で実力をアップさせた清岡幸大郎

--全体のレベルが上がったことが、金8個の結果につながったことは間違いないですね。

松本 それは、はっきり言えます。これで満足するのではなく、この流れが下の世代につながっていき、さらに全体が底上げをすることで、2028年ロサンゼルス大会、2032年ブリスベン大会へとつながり、これ以上の結果が出ると思います。全体の底上げを、今一度考えていく必要があります。

▲7月の草津合宿で練習を見守る松本監督(右端)=撮影・保高幸子

--今回の日体大の金メダリストの中で、樋口黎、文田健一郎、日下尚、藤波朱理の4選手は、過去の実績から優勝を予想できたと思いますが、世界選手権もアジア選手権も出場経験のなかった清岡幸大郎は、正直なところ、どうだったのでしょうか? 

松本 学生のときから樋口黎とほぼ毎日、練習していました。練習相手の強さを自分の強さにし、レスリングへの取り組みも変わってきていました。階級は違っても世界トップ選手との質の高い練習の中から実力をつけており、そこからの自信を出してくれれば、やってくれると信じていました。日下も、私や屋比久翔平(2021年東京大会銅メダル)との毎日の練習の中で世界との距離感を感じ、それを縮めることで自分のレベルを上げていったのだと思います。

--清岡選手の反対ブロックからは、2022年世界王者のイラン選手が出てきました。一番、出てきてほしくない選手だったと思いますが、そのときのお気持ちは?

松本 確かに、イラン選手の決勝までの勝ち上がりの試合を見て、強い選手だと思いました。でも、決勝は完全に清岡のペースでしたね(笑)。清岡らしい試合をやってくれました。

レベルは上がったが、さらに体力の向上が必要な重量級

--77kg級で勝った日下尚選手は、日本史上最重量級のオリンピック王者となりました。重量級のレベルアップも着実に進んでいると考えていいでしょうか。

松本 進んではいますが、もっと体力レベルを上げていかないとならない状況ではあります。80kg代、さらに90kg代でも勝てるよう、少しずつレベルを上げていき、各選手のモチベーションを上げていくことが課題になると思います。

▲2028年ロサンゼルス・オリンピックへ向かうチームを指揮する松本監督

--今回金メダルを取った5選手の今後については、何か聞いていますか?

松本 樋口と文田は、とりあえずゆっくりしてもらいます。樋口はアメリカからコーチの声がかかっています。文田は、休養して気持ちが盛り上がってきたらマットに戻ると思いますが、ともに本人次第。私からは何も言いません。レスリングを続けるなら、引き続き学生の手本となるような活動をしてほしいと思います。

--若い3選手は、いかがでしょうか?

松本 日下と清岡は10月にドイツのブンデスリーガ(リーグ戦=昨年、日下が参戦)に行く予定です。藤波も、間もなく次のオリンピックへ向けて始動すると思います。

--オリンピックで金メダルを取ったことで、天狗になったりする懸念はないでしょうか。

松本 日体大のこの環境の中では絶対にありません! 若い選手が次々と出てきて、突き上げてきます。若い選手を育て、底上げをしっかりやっていきます。

だれもが気持ちが盛り上がっていたインカレとU20世界選手権

--次世代の底上げ、という意味で、オリンピックの約2週間後にあったインカレ(全日本学生選手権)での選手の気持ちの盛り上がりはどうでしたでしょうか(日体大はグレコローマンで最多の4階級、フリースタイルで2階級、女子で3階級、3スタイル合計でも最多の9階級で優勝)。

松本 先輩たちがパリであれだけの成績を残した、という気持ちをもって臨んでいたと思います。インカレの直後にあったU20世界選手権(スペイン)に照準を置いた選手もいましたし、だれもが気持ちは盛り上がっていたと思います。

▲全日本学生選手権で優勝した髙橋海大(右)。パリでの日体大選手の勢いを引き継ぎ、来月、世界王者に輝けるか

--後に続く選手へ刺激を与えることになり、今の日本レスリング界は最高の状態で回転しているのではないでしょうか。

松本 そうですね。このあと国民スポーツ大会、全日本大学グレコローマン選手権、全日本大学選手権、海外ではU23世界選手権、非オリンピック階級の世界選手権と続きます。自分たちもやればできる、という気持ちを持って頑張ってほしい。


【2024年パリ・オリンピック・レビュー(17)】男子フリースタイル97kg級/優勝選手・表彰式・闘いのあと

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(2024年8月10~11日、フランス・パリ)


【男子フリースタイル97kg級】
Tazhudinov, Akhmed(アフメド・タジュディノフ=バーレーン)

(UWWサイトより)

  2003年1月25日生まれ、21歳。ロシア・ダゲスタン共和国生まれ。オリンピック2連覇のアブデュラシド・サデュラエフ(AIN=ロシア)と同じクラブで練習を積み、国籍をバーレーンに変更し、国際大会のキャリアとしては最初(2022年)からバーレーン国籍で活動。2023年のアジア選手権を制したあと、世界選手権は4回戦(準々決勝)で前年優勝のカイル・スナイダー(米国)にテクニカルスペリオリティ勝ちし、準決勝でサデュラエフを破っての初出場初優勝。

 その後もアジア大会や今年のアジア選手権を勝ち、オリンピックの頂点に駆け上がった。バーレーンは、まだ自国生まれの選手は育つには至っていないが、主にロシアからの国籍変更選手が奮戦しており、初のオリンピック王者が誕生した。

 ■97kg級:アフメド・タジュディノフ(バーレーン)「オリンピックは、どの試合も難しい闘いでした。私は、やり遂げました。一生懸命に練習し、家族、兄弟、そしてトレーニングパートナーが、きょうの私になることを助けてくれました。(決勝のフォール勝ちは)カウンターアタックで、うまく相手をとらえることができました」


《1回戦~決勝の成績》トーナメント表
決 勝 ○[フォール、1:52=2-0]Matcharashvili, Givi(ジョージア)
準決勝 ○[6-4]Snyder, Kyle Frederick(米国)
2回戦 ○[VSU、5:11=14-2]Yergali, Alisher(カザフスタン)
1回戦 ○[4-3]Azarpira, Amirali Hamid(イラン)

(UWWサイトより)

[2]Matcharashvili, Givi(ジョージア)
[3]Azarpira, Amirali Hamid (イラン)
[3]Magomedov, Magomedkhan Magomedovitch(アゼルバイジャン)
[5]Mchedlidze, Murazi(ウクライナ)
[5]Snyder, Kyle Frederick(米国)

パリ・オリンピック代表選手団が報告会

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 8月のパリ・オリンピックの代表選手団による報告会が9月27日、都内の明治記念館で行われ、代表選手・コーチ・スタッフが勢ぞろいし、約300人のゲストに真夏の決戦を報告した。司会は、パリ・オリンピックでレスリングの実況を担当した日本テレビの山本健太アナウンサー

▲パリの激闘を報告した日本選手団

 最初にあいさつした日本協会の富山英明会長は「金メダル8個、銀メダル1個、銅メダル2個の11個のメダルを獲得。目標は金6個でして、それを上回る素晴らしい成績を残すことができました。協賛企業など日頃から支援してくださっている方々に深く感謝します」とあいさつ。

 続けて、「オリンピックには魔物が棲(す)む、と言われますが、魔物ではなく勝利の女神が天から降ってきました。選手は観衆を味方につけ、それがパワーとなって、いつも以上の力を発揮してくれたと思います」と話した。

▲「勝利の女神が天から降ってきた」と話した日本協会の富山英明会長

 来賓の阿部雅・アシックスジャパン代表取締役社長が「選手の皆様がそれぞれの夢に果敢に挑戦され、世界の大舞台で活躍されましたことは、全国の人たちに大きな夢と希望を与えてくれました。さらなる夢の実現へ向けて、ここにいる方達とともにサポートしていきたいと思います」と、今後の支援とエールを送った。

 自民党の総裁選挙が終わってすぐに駆けつけたという橋本聖子・参議院議員(東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長)は「レスリングの皆様に心から感謝と敬意と、おめでとうという言葉を贈ります。(4年後の)ロサンゼルス・オリンピックがもっと大変になるんじゃないかと、富山会長に同情いたします。これ以上の記録を出さないと周りは納得しないと思います」と4年後の再現を期待すると、会場は大爆笑につつまれた。

 会場のスクリーンにパリでの各選手の優勝シーンなどが流れ、1ヶ月半前の感動が再現。サイン入りTシャツなど記念品の抽選会も行われ、最後に各選手がゲストに感謝の言葉を述べた。

▲選手の頑張りが「全国の人たちに大きな夢と希望を与えてくれました」と話したアシックスジャパンの阿部雅代表取締役社長

【報道】10.19~20フォーデイズ杯全日本女子オープン選手権/開催のお知らせ・取材申し込みについて

2025年の各世代・世界選手権、ランキング大会、シニア・アジア選手権の日程・開催地が確定

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 世界レスリング連盟(UWW)は9月25日、2025年の各世代の世界選手権とランキング大会の日程と開催地を発表した。

 シニアの世界選手権は、すでに9月13日(土)~21日(日)クロアチア・ザグレブと発表されていた。各世代の世界選手権の日程と場所は下記の通り。

■U17世界選手権=7月28日(月)~8月3日(日):ギリシャ・アテネ
■U20世界選手権=8月18日(月)~24日(日):ブルガリア・ソフィア
■ベテランズ世界選手権=10月7日(火)~12日(日):ハンガリー・ブダペスト
■U23世界選手権=10月20日(月)~26日(日):セルビア・ノビサド

 シニアのアジア選手権は3月25日(火)~30日(日)ヨルダン・アンマンで行われる。各世代の大会は決定されていないが、U17・23アジア選手権は6月14日(土)~22日(日)にタイ・パタヤで、U15・20アジア選手権は7月5日(土)~13日(日)に台湾・台北が、それぞれ候補に挙がっている。

 世界選手権のシードにかかわってくるランキング大会は、下記の通り。2027年までの3年間、同じ開催地で実施される。ロサンゼルス・オリンピックのある2028年はザグレブとブダペストの2ヶ所のみで実施。

■第1回=2月5日(水)~9日(日):クロアチア・ザグレブ
■第2回=2月26日(水)~3月2日(日):アルバニア・ティラナ
■第3回=5月29日(木)~6月1日(日)モンゴル・ウランバートル
■第4回=7月17日(木)~20日(日):ハンガリー・ブダペスト

 なお、2025年は11月8日(土)~9日(日)に愛知・名古屋市で女子ワールドカップが予定され(現在は「候補」)、同15日(土)~26日(水)の東京デフリンピックでレスリング競技が実施される(場所は府中市立総合体育舘、期日は未発表)。

《ネット中継》2024年西日本学生選手権・最終日(男子フリースタイル/女子)

【2024年パリ・オリンピック・レビュー(18)完】男子フリースタイル125kg級/優勝選手・表彰式・闘いのあと

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(2024年8月9~10日、フランス・パリ)


【男子フリースタイル125kg級】
Petriashvili, Geno(ゲノ・ペトリアシビリ=ジョージア)

(UWWサイトより)

(撮影=保高幸子)

 1994年4月1日生まれ、30歳。8歳からレスリングを始める。2011年欧州カデット選手権100k級優勝、2011年世界ジュニア選手権120kg級2位と早くから頭角を現す。シニアでも2013年に120kg級で世界選手権3位へ。2015年にも世界選手権125kg級で3位となり、2016年はU23とシニアの欧州選手権を制覇。リオデジャネイロ・オリンピックで銅メダルを獲得した。

 2017年はU23欧州選手権で優勝したあと、世界選手権で勝って初の世界一へ。2019年まで勝ち続けて3年連続優勝を達成した。2021年東京オリンピックは決勝のラスト数秒で逆転負けを喫して銀メダル。その後の3度の世界選手権では銀メダルか銅メダルで、世界一への返り咲きはならなかった。パリでは、決勝で昨年の世界王者に追い上げられてヒヤリとしたが、悲願の金メダルを獲得。

 ■125kg級:ゲノ・ペトリアシビリ(ジョージア)「過去2回のオリンピックでは優勝できなかったので、今回は本当に勝ちたかった。東京では最後の数秒で負けてしまったことを毎日考えていた。精神的にも肉体的にも本当に辛い日々で、すべてのときが本当に辛かった。今日は勝てた。この瞬間を忘れない。素晴らしい瞬間でした。

 (決勝は、いったん12-1になって勝利を喜んだが、相手のチャレンジで10ー1となり試合再開)追い上げられて最後の数秒で10-9になったとき、私は『諦めるな』と自分に言い聞かせました。彼よりも私の方が勝ちたい気持ちが強かったのだと思います」


《1回戦~決勝の成績》トーナメント表
決 勝 ○[10-9]Zare, Amir Hossein Abbas(イラン)
準決勝 ○[7-0]Meshvildishvili, Giorgi(アゼルバイジャン)
2回戦 ○[9-2]Baran, Robert(ポーランド)
1回戦 ○[VSU、5:10=11-0]Khotsianivski, Aleksander(ウクライナ)

(UWWサイトより)

[2]Zare, Amir Hossein Abbas(イラン)
[3]Akgul, Taha(トルコ)
[3]Meshvildishvili, Giorgi(アゼルバイジャン)
[5]Lazarev, Aiaal(キルギス)
[5]Baran, Robert(ポーランド)

ロシアとベラルーシの国際大会の参加基準を緩和

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 世界レスリング連盟(UWW)は9月25日、前日のビューロー会議で更新されたロシアとベラルーシの国際大会への参加基準を発表。今後のUWW公認の国際大会は、ウクライナとの戦争への軍の直接参加の証拠、または戦争やその主催者または参加者を支持する公の宣言(書面または口頭)のみが、選手を不適格として出場を認めないこととした。

 国際オリンピック委員会(IOC)は2023年3月、除外が続いていたロシアとベラルーシ両国の選手について、個人資格の「中立」(AIN)を条件に国際大会復帰を各国際競技連盟(IF)に通達。UWWはこれを受け入れ、IOC が推奨する参加条件に基づき、選手の適格性を検証するための独立した委員会が設置され、同委員会による審議のうえで参加の可否が決定されることとなった。

 昨年の世界選手権では、両国の235選手が徹底的な審査を受け、進行中の戦争を積極的に支持しているか、軍や国家安全保障機関のメンバーである場合には不適格と判断され、26人が出場を認められなかった。今夏のパリ・オリンピックでは、IOCのさらに厳格な審査で、AIN選手としてオリンピックの出場枠を取ったロシア選手の多くが参加を認められず、ロシアはこれに抗議して1選手も参加しなかった。

 今回のUWWの決定により、来月にアルバニアで開催されるU23世界選手権と非オリンピック階級世界選手権は、多くのロシアとベラルーシ選手がAIN選手として参加することが予想される。AIN選手としての参加であり、国歌、国旗、シンボルの使用は認められない。


二宮健斗(日本文理大)が両スタイルにまたがる4連覇達成…2024年西日本学生選手権

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 2024年西日本学生選手権は9月27~29日、大阪・堺市金岡公園体育館で行われ、男子グレコローマン60kg級 で二宮健斗(日本文理大)が優勝。2021~23年の男子フリースタイル57kg級優勝と合わせ、両スタイルにまたがって4年連続優勝を達成した。

 4連覇達成選手は大会史上20人目で、両スタイルを合わせての達成は2020年の山﨑翔馬(九州共立大)に続いて2人目。

 男子両スタイルの最重量級は佐々岡誇仁(中京学院大)が制覇。グレコローマンで3年ぶりの王者に返り咲いた。女子50kg級は矢野楓奈(帝塚山大1年=兵庫・芦屋学園高卒)が同大学の女子選手として初優勝を遂げた。

 各階級の成績は下記の通り(主催者の意向により、トーナメント表の掲載はありません)。

▲4年連続優勝の二宮健斗(日本文理大)=チーム提供

▲帝塚山大から初の女子チャンピオンとなった矢野楓奈(左から2人目)。女子に新たな大学が進出してきた=チーム提供


1~3位一覧表 男子フリースタイル 男子グレコローマン
 女  子  アルキメデス

《個人賞》
【男子フリースタイル最優秀選手】佐々岡誇仁(中京学院大)
【男子グレコローマン最優秀選手賞】二宮健斗(日本文理大)
【アルキメデス最優秀選手】森本理斗(同志社大)、【アルキメデス敢闘賞】内山大夢(桃山学院大)


男子フリースタイル

 ▼57kg級 [1]髙橋瑠希弥(近大)、[2]二宮健輝(日本文理大)、[3]満永大翔(近大)、速水雷亞(立命館大)

 ▼61kg級 [1]尾浦悠斗(近大)、[2]小石原央義(周南公立大)、[3]稲岡心空(近大)、安渡翔(同志社大)

 ▼65kg級 [1]大関勁心(九州共立大)、[2]吉田海耶(福岡大)、[3]宇藤憲峰(近大)、北村一気(周南公立大)

 ▼70kg級 [1]畔上浩輝(近大)、[2]松田來大(周南公立大)、[3]饒波悠稀(九州共立大)、橋本彪雅(日本文理大)

 ▼74kg級 [1]西村将希(周南公立大)、[2]増谷瞭(近大)、[3]西川愛琉(近大)、門坂星那(九州共立大)

 ▼79kg級 [1]尾関友陽(立命館大)、[2]茂野颯良(大体大)、[3]吉井勇翔(周南公立大)、田島亮太(日本文理大)

 ▼86kg級 [1]升田康太(帝塚山大)、[2]井上大咲(天理大)、[3]濵川龍太(九州共立大)、池口大輝(同志社大)

 ▼92kg級 [1]権田龍(周南公立大)、[2]武重毅留(周南公立大)、[3]内田柊二(同志社大)、近藤大幹(立命館大)

 ▼97kg級 [1]立岡拓馬(天理大)、[2]高橋凱峰(近大)、[3]松本彬夢(大体大)、アブデルマレックラッファエッロ(近大)

 ▼125kg級 [1]佐々岡誇仁(中京学院大)、[2]片岡拓海(福岡大)、[3]吉里颯太(九州共立大)、春風飛翼(周南公立大)


男子グレコローマン

 ▼55kg級 [1]佐々木暢久(九州共立大)、[2]満永大翔(近大)、[3]沖田光晴(周南公立大)、沼田将吾(帝塚山大)

 ▼60kg級 [1]二宮健斗(日本文理大)、[2]髙山瑛渉(九州共立大)、[3]後藤純也(九州共立大)、内田皇輝(九州共立大)

 ▼63kg級 [1]杉本壮汰(九州共立大)、[2]藤野清也(日本文理大)、[3]長野佑利(日本文理大)、片田皓之(福岡大)

 ▼67kg級 [1]北村一気(周南公立大)、[2]今中賀也(大体大)、[3]石丸知輝(九州共立大)、大関勁心(九州共立大)

 ▼72kg級 [1]長野壮志(九州共立大)、[2]吉永恵二郎(日本文理大)、[3]清水聖矢(福岡大)、松田來大(周南公立大)

 ▼77kg級 [1]小川凛太郎(九州共立大)、澤田宗一郎(周南公立大)、尾関友陽(立命館大)、[3]石原弘太郎(福岡大)=協議の上、決定

 ▼82kg級 [1]谷川光星(周南公立大)、[2]中村響(周南公立大)、[3]井上輪太郎(立命館大)、田原凌駕(日本文理大)

 ▼87kg級 [1]近藤大幹(立命館大)、[2]稲本喬弘(関大)、[3]岡山ダー(帝塚山大)、権田龍(周南公立大)

 ▼97kg級 [1]奥田歩希(九州共立大)、[2]磯谷輝(近大)、[3]立岡拓馬(天理大)、水谷大翔(日本文理大)

 ▼130kg級 [1]佐々岡誇仁(中京学院大)、[2]岩澤泰紀(福岡大)、[3]吉里颯太(九州共立大)、春風飛翼(周南公立大)


女子

 ▼50kg級 [1]矢野楓奈(帝塚山大)、[2]磯江はるか(福岡大)、[3]枦木歩未(南九州大)、浜崎蘭(南九州大)

 ▼53kg級 [1]眞柄美和(至学館大)、[2]上岡三桜(天理大)

 ▼55kg級 [1]陳亞欣(天理大)

 ▼57kg級 [1]黒木美帆(福岡大)、[2]上岡七翠(天理大)

 ▼59kg級 =出場なし

 ▼62kg級 [1]内田奈佑(至学館大)

 ▼65kg級 =出場なし

 ▼68kg級 [1]北出桃子(至学館大)

 ▼72kg級 [1]小林久美(福岡大)

 ▼76kg級 =出場なし


アルキメデス

 ▼57kg級 [1]三浦泰輝(関学大)、[2]塩田智弘(大体大)

 ▼61kg級 [1]内山大夢(桃山学院大)、[2]山﨑威風(九州共立大)、[3]島瑞貴(関学大)、橋本翔喜(関大)

 ▼65kg級 [1]森本理斗(同志社大)、[2]椎葉大貴(南九州大)、[3]原来鳳(関大)、狩俣翔(大体大)

 ▼70kg級 [1]奥村陽(同志社大)、[2]藤根綾巳(桃山学院大)、[3]中西俊介(桃山学院大)

 ▼74kg級 [1]松山亮斗(立命館大)、[2]浦暉(大体大)、[3]加治屋直澄(関学大)

 ▼79kg級 =出場なし

 ▼86kg級 [1]渡邉隆人(関大)、[2]滝山凜太郎(神戸医療未来大)

 

2023年アジア王者がドーピング違反、4年間の出場停止へ

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 ドーピングの国際検査機関(ITA)は9月23日、2023年アジア選手権(カザフスタン)男子グレコローマン82kg級優勝のアキルベク・タラントベコフ(キルギス)が、同大会での検査でドーピング陽性反応を示し、それが確定したことを発表。世界レスリング連盟(UWW)は、2027年6月までの4年間の出場停止を決めた。

 これによって、2位だったディアス・カレン(カザフスタン)が繰り上げで優勝。タラントベコフと闘って3位だったアリレザ・モハマドピアニ(イラン)が2位に繰り上がった。3位に入っていた前田祐也(鳥取県協会)の順位に変動はない。

 同大会の国別対抗得点は、キルギスが2位、カザフスタンが3位だったのが入れ替わり、カザフスタンが2位、キルギスが3位となった。

 今回は大会の2ヶ月後に陽性反応が確認され、厳密な再検査で時間がかかっていたもよう。世界アンチ・ドーピング機関(WADA)は現在、採取した検体を10年間保存し、そのときは検出できない薬物でも、最新の技術によって摘発し、巧妙化するドーピング対策に対抗。「不正は絶対に許さない」との方針を示している。

【記録】男子で20人目、男女通算21人目の4連覇…西日本学生選手権

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▲男子20人目の西日本学生4連覇を達成した二宮健斗(日本文理大)=写真は2023年全日本大学グレコローマン選手権

 

 2024年西日本学生選手権の男子グレコローマン60kg級で二宮健斗(日本文理大)が優勝。前年までの男子フリースタイル57kg級3連覇とともに、4年連続優勝を達成した。

 男子の4連覇は大会史上のべ20人目。フリースタイルで11選手、グレコローマンで7選手。両スタイルにまたがってのケースは1選手が達成している(中井直也葭田隆夫が両スタイルで達成)。女子では昨年、稲垣柚香(至学館大=現自衛隊)が成し遂げた。

 4連覇達成選手は下記の通り


男子フリースタイル

No. 選手名 大 学 階 級
11 2015~18年 田代拓海 福岡大 57kg級
10 2012~15年 有元伸悟 近 大 61kg級
9 2009~12年 桑木 黎 中京学院大 55kg級
8 1998~2001年 森岡寛至 同志社大 58・63kg級
7 1997~2000年 渡辺義正 立命館大 54kg級
6 1996~99年 大橋理秀 桃山学院大 74・76kg級
5 1995~98年 葭田隆夫 福岡大 62・63kg級
4 1987~90年 中井直也 同志社大 57・62kg級
3 1983~86年 恒川寿生 同志社大 74・82kg級
1 1978~81年 宮本明宏 徳山大 74・82kg級
1978~81年 守田武史 徳山大 57・62・68kg級

男子グレコローマン

No. 選手名 大 学 階 級
7 2017~20年 神田優人 中京学院大 59・60kg級
6 2001~04年 吉田光志 福岡大 97・96kg級
5 1995~98年 葭田隆夫 福岡大 62・63kg級
4 1993~96年 松尾大樹 福岡大 48kg級
2 1987~90年 中井直也 同志社大 57・62kg級
1987~90年 小泉 円 同志社大 48kg級
1 1983~86年 是永順次 福岡大 48kg級

両スタイル通じて

No. 選手名 大 学 階 級
2 2021~24年 二宮健斗 日本文理大 F57=3回/G60
1 2017~20年 山﨑翔馬 九州共立大 G75・77・82kg/F79kg

女子

No. 選手名 大 学 階 級
1 2020~23年 稲垣柚香 至学館大 62kg

2024年西日本学生選手権

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(2024年9月27~29日、大阪・堺市金岡公園体育館)


1~3位一覧表 男子フリースタイル 男子グレコローマン
 女  子  アルキメデス

《個人賞》
【男子フリースタイル最優秀選手】佐々岡誇仁(中京学院大)
【男子グレコローマン最優秀選手賞】二宮健斗(日本文理大)
【アルキメデス最優秀選手】森本理斗(同志社大)、【アルキメデス敢闘賞】内山大夢(桃山学院大)

※連盟の方針により、トーナメント表の掲載はありません


男子フリースタイル

 ▼57kg級 [1]髙橋瑠希弥(近大)、[2]二宮健輝(日本文理大)、[3]満永大翔(近大)、速水雷亞(立命館大)

 ▼61kg級 [1]尾浦悠斗(近大)、[2]小石原央義(周南公立大)、[3]稲岡心空(近大)、安渡翔(同志社大)

 ▼65kg級 [1]大関勁心(九州共立大)、[2]吉田海耶(福岡大)、[3]宇藤憲峰(近大)、北村一気(周南公立大)

 ▼70kg級 [1]畔上浩輝(近大)、[2]松田來大(周南公立大)、[3]饒波悠稀(九州共立大)、橋本彪雅(日本文理大)

 ▼74kg級 [1]西村将希(周南公立大)、[2]増谷瞭(近大)、[3]西川愛琉(近大)、門坂星那(九州共立大)

 ▼79kg級 [1]尾関友陽(立命館大)、[2]茂野颯良(大体大)、[3]吉井勇翔(周南公立大)、田島亮太(日本文理大)

 ▼86kg級 [1]升田康太(帝塚山大)、[2]井上大咲(天理大)、[3]濵川龍太(九州共立大)、池口大輝(同志社大)

 ▼92kg級 [1]権田龍(周南公立大)、[2]武重毅留(周南公立大)、[3]内田柊二(同志社大)、近藤大幹(立命館大)

 ▼97kg級 [1]立岡拓馬(天理大)、[2]高橋凱峰(近大)、[3]松本彬夢(大体大)、アブデルマレックラッファエッロ(近大)

 ▼125kg級 [1]佐々岡誇仁(中京学院大)、[2]片岡拓海(福岡大)、[3]吉里颯太(九州共立大)、春風飛翼(周南公立大)


男子グレコローマン

 ▼55kg級 [1]佐々木暢久(九州共立大)、[2]満永大翔(近大)、[3]沖田光晴(周南公立大)、沼田将吾(帝塚山大)

 ▼60kg級 [1]二宮健斗(日本文理大)、[2]髙山瑛渉(九州共立大)、[3]後藤純也(九州共立大)、内田皇輝(九州共立大)

 ▼63kg級 [1]杉本壮汰(九州共立大)、[2]藤野清也(日本文理大)、[3]長野佑利(日本文理大)、片田皓之(福岡大)

 ▼67kg級 [1]北村一気(周南公立大)、[2]今中賀也(大体大)、[3]石丸知輝(九州共立大)、大関勁心(九州共立大)

 ▼72kg級 [1]長野壮志(九州共立大)、[2]吉永恵二郎(日本文理大)、[3]清水聖矢(福岡大)、松田來大(周南公立大)

 ▼77kg級 [1]小川凛太郎(九州共立大)、澤田宗一郎(周南公立大)、尾関友陽(立命館大)、[3]石原弘太郎(福岡大)=協議の上、決定

 ▼82kg級 [1]谷川光星(周南公立大)、[2]中村響(周南公立大)、[3]井上輪太郎(立命館大)、田原凌駕(日本文理大)

 ▼87kg級 [1]近藤大幹(立命館大)、[2]稲本喬弘(関大)、[3]岡山ダー(帝塚山大)、権田龍(周南公立大)

 ▼97kg級 [1]奥田歩希(九州共立大)、[2]磯谷輝(近大)、[3]立岡拓馬(天理大)、水谷大翔(日本文理大)

 ▼130kg級 [1]佐々岡誇仁(中京学院大)、[2]岩澤泰紀(福岡大)、[3]吉里颯太(九州共立大)、春風飛翼(周南公立大)


女子

 ▼50kg級 [1]矢野楓奈(帝塚山大)、[2]磯江はるか(福岡大)、[3]枦木歩未(南九州大)、浜崎蘭(南九州大)

 ▼53kg級 [1]眞柄美和(至学館大)、[2]上岡三桜(天理大)

 ▼55kg級 [1]陳亞欣(天理大)

 ▼57kg級 [1]黒木美帆(福岡大)、[2]上岡七翠(天理大)

 ▼59kg級 =出場なし

 ▼62kg級 [1]内田奈佑(至学館大)

 ▼65kg級 =出場なし

 ▼68kg級 [1]北出桃子(至学館大)

 ▼72kg級 [1]小林久美(福岡大)

 ▼76kg級 =出場なし


アルキメデス

 ▼57kg級 [1]三浦泰輝(関学大)、[2]塩田智弘(大体大)

 ▼61kg級 [1]内山大夢(桃山学院大)、[2]山﨑威風(九州共立大)、[3]島瑞貴(関学大)、橋本翔喜(関大)

 ▼65kg級 [1]森本理斗(同志社大)、[2]椎葉大貴(南九州大)、[3]原来鳳(関大)、狩俣翔(大体大)

 ▼70kg級 [1]奥村陽(同志社大)、[2]藤根綾巳(桃山学院大)、[3]中西俊介(桃山学院大)

 ▼74kg級 [1]松山亮斗(立命館大)、[2]浦暉(大体大)、[3]加治屋直澄(関学大)

 ▼79kg級 =出場なし

 ▼86kg級 [1]渡邉隆人(関大)、[2]滝山凜太郎(神戸医療未来大)

 

【特集】若いパワーで歴史の新たな1ページが開いた! マリンスポーツのメッカで、ジュニア世代のビーチ大会がスタート

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 若いパワーによって、歴史の新たな1ページがスタートした。9月29日、ジュニア世代(幼稚園~中学)を対象としたビーチレスリングの大会、第1回「Wrestle on the BEACH 2024 HAYAMA」が、神奈川・葉山町の大浜海岸で行われ、地元の神奈川県のみならず、東京都、茨城県、山梨県からも選手が集まった。参加選手の中にはU15アジア選手権王者の中学生もいて、計73選手が砂の上で熱戦を展開した。

 主催は神奈川県レスリング協会だが、発案し開催に尽力したのは、昨年、日本初のビーチレスリング・クラブを立ち上げた田中幸太郎・葉山ビーチレスリングクラブ代表(早大卒=34歳)。葉山町の後援のもと、9つの協賛企業の支援を得て開催へこぎつけた。ビーチレスリングの技術を競うとともに、「自然環境を大事にする」という世界の緊急課題を前面に出し、危険木や倒木を利用した木製のメダルを授与することで(後述)、選手たちの自然環境保護への意識を高めることも求めた。

▲3つの試合場で熱戦が展開。開会式での田中幸太郎代表の最初の注意は「地震がきて津波の可能性がある場合は、てんでんばらばらでいいので、すぐ高台に逃げること」

 田中代表は「子ども達が、人として成長する環境を大人がサポートできればと思っています」と力説する。スポーツ選手は、そのスポーツの競技力向上だけを考えればいいわけではない。社会問題への意識を高め、よりよい社会づくりへの貢献が求められる時代。スタートしたばかりのささやかな芽だが、大きく育つことが期待される。

試合場(サークル)が狭い分、真っ向勝負が相次ぐ

 今大会はジュニア対象ということで、シニアより試合場(サークル)が狭く、直径3メートルほど(注=シニアのビーチは直径7メートル、マットのレスリングは直径9メートル)。それゆえ、広さを使っての駆け引きの部分が少なく、開始から真っ向勝負の短時間決戦が続いた。早ければ20秒以内、そうでなくとも1分前後のうちにどちらかが3点(1点×3回、3点×1回)を取って勝負が決まった試合がほとんど。

 相撲で言う“立ち合い”に負けて場外へ押し出されそうになると、起死回生を狙った投げ技で反撃を試みる選手も多く、とにかく技が繰り出され、見合うシーンがない。押していた選手が勇み足で負けるケースもあり、サークルのすぐぞばで応援している保護者からその度に大きな歓声が沸いた。

▲場外際での逆転狙いの技も多く見られた

 レスリングが人気を獲得しづらい理由のひとつに、「技が出ない」ことが挙げられる。闘いの場を狭くすることが、その解決につながるかもしれない。

相撲に近い闘いは、足腰の強化に役立つ!

 中学生の試合では、組み手の応酬などマットの上でのレスリングに近い攻防が行われるシーンも展開される。思い出されるのは、パリ・オリンピックで優勝した日下尚(三恵海運)が、小中学校時代はレスリングとともに相撲で足腰を鍛えていたこと。ビーチの闘いは、組み手争いや組み合っての押し合いなど相撲に近い攻防が多く、マットの上の闘いにも生かされる要素があるのは間違いない。

 全国中学生選手権75kg級チャンピオンの永田裕生(MTX ACADEMY)は「相撲のような感じでやればいいのかな、と思いました」とビーチに初挑戦の感想。このスタイルで世界選手権出場を目指すことまでは考えていないそうだが、日下選手の例を出すと、レスリングへ役立つことを否定せず、「機会があったら、またやってみたい」と話した。

▲オリンピック・スタイルでの日本最重量級の世界一を目指す永田裕生。“日下尚流”の足腰の強化を見つけた

 神奈川県レスリング協会の粟田敦会長(日本協会理事)は、来年からU15世代のグレコローマンの海外派遣が始まるので、「砂の上での(上半身での)闘いは、グレコローマンに役に立ちます」とも話し、中学生へも広めたい意向だ。

「30代の発案と行動に価値がある」…神奈川県協会・粟田敦会長

 粟田会長は、画期的な大会と試みを「30代の若い選手が発案し、動いてくれたことに価値があります」と評価する。自身は60代の後半。「考えることが、今の若者には受け入れられないですよ。若い人間が、若い感性で行動することが発展につながるんです」と言う。

 オリンピックでも、サーフィン、ブレイクダンス、スポーツクライミングといった“若者スポーツ”が、その都市限定であっても採用されている。若い世代をオリンピックに惹きつけるためには、“旧人”とは根本的に違う感性を尊重する必要がある。若者にレスリングの魅力をアピールするには、“昭和世代の発想”であっていいはずがない。

 規模が大きくなったらどうなるか分からないが、今大会は小さなサークルのすぐそばで保護者が応援できたので、親子が一体となって闘っていた感もある。「保護者も熱く燃えていましたね」と話し、こうした発想も、少年少女をレスリングに惹きつける策のひとつと感じたようだ。

▲逃げる場所がない狭い試合場。力のぶつかり合いが続いた

 「ビーチレスリングは、基本的に海岸のある県でしかできません。神奈川県から全国へジュニアのビーチを発信したい。レベルの高い大会に出るのもいいですが、息抜き、という感じで、楽しさを求めての試合出場があってもいい」と話す。来年は、もっと多くのクラブに呼びかけ、今年より多くの選手を集める腹積もりだ。

世界でたったひとつしかない木製のメダルを授与

 クラブ発足から約2年をかけて大会開催を実現した田中代表は「これだけの選手が集まって、うれしいです。ビーチの普及をさらに進めたい、という気持ちを強くしました」と言う。

 自然環境への意識を高めるための木製のメダルと盾は、協賛してくれた社団法人葉山の森保全センター(HFC)の活動の一環。同法人は、街にある危険木(枝や幹が道路や電線などの邪魔になっている木)を切り取り、廃棄するのではなく、再生させて活用することでゴミ削減を目指している。その枝を切ってのメダルなので、形はすべて違っている。

▲木製メダルの意味を説明する田中代表。同じメダルはひとつもない

 「メダル」といえば、金・銀・銅色の金属と相場が決まっているが、考えてみると、それは固定観念。世界で“たったひとつしかないメダル”を授与することで、より思い出深い記念品として受け取ってもらえる場合もある。田中代表は「木の活用が自然環境への意識の高まりにつながってほしい」と話す。

 大会開催を機に、来年へ向けていっそう力が入りそう。クラブのコンセプトは「雨でも風でもビーチでやる」なので、冬も砂の上で週1回の練習を続けると言う。葉山町は、天皇皇后の御用邸や、日本ヨットの発祥地としてマリンスポーツが有名だが、ビーチレスリングが町の顔となる日が待たれる。

▲どんな試合でも、負ければ悔しいが、飛躍のエネルギーになる!

▲地元出身の新倉すみれ選手(神奈川大=中央)の姿も。ビーチでの世界挑戦を視野に入れての視察か?

▲攻撃的なレスリングを評価して贈られたBEST ATTACK AWARD(優秀賞)。左から永井琥一朗(MTX ACADEMY= 中学生男子D、U15アジア選手権王者)、小宮拓真(逗子キッズ=小1・2年B)、坪井さら(ワセダクラブ=小3~6年女子C)

▲現プロ格闘家で昨年の全日本ビーチ王者の河名真寿斗選手(専大OB)も参加。ジャンケン大会で勝ち抜いた選手にサイン入りTシャツをプレゼント

▲田中幸太郎代表からのプレゼントは、同代表の2013年ユニバーシアード出場のときのTシャツ。ジャンケン大会の勝者に贈られた

 

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