(文・撮影=増渕由気子) 栗本秀樹監督(左)と梅野貴裕コーチから祝福される久保諒汰(愛媛・八幡浜工)
決勝戦は、先制されたものの、第1ピリオドの中盤に小手投げから崩し、最後はフォール勝ち。「負けたくない、絶対に勝ちたいと思った」という逆転フォール勝ちだった。レスリング歴、わすか3年での栄冠に、初心者でも練習をすれば強くなれることを証明して見せた。
柔道経験者で高校からレスリングに転向した選手。最上級生になった今年3月の全国高校選抜選手権でも優勝するチャンスは十分にあったが、準決勝で山本壮汰(静岡・飛龍)に逆転負け。しかも、リードして迎えた終盤に時計を見て、相手から目を離したスキにやられてしまった。
栗本監督は、「度胸もあり十分に強いんですけど、集中力がたまに切れるのがね…」とため息をついた。結局、山本が優勝し、久保は3位だった。 柔道仕込みのけさ固めでフォール勝ち
今大会、第1シードの山本が準々決勝で敗れたことで、久保には追い風が吹く状況に。心配ごとは、久保の集中力だったが、あれから5ヶ月、久保はたくましくなった。「これまでは、(失点して)あきらめたり、(リードして)油断したりがいけなかった」と反省したことで、失点してもあきらめない気持ちが逆転フォールにつながった。
最後のけさ固めは柔道仕込みの得意技。フォールには少し時間がかかったが、「絶対に第1ピリオドで終わらせる」と執念で抑え込んだ。栗本監督も「チャンスをしっかりとものにした。それは偉い」と成長した久保を褒めた。
来年は愛媛国体が行われ、愛媛県では現在、強化の真っ最中。今年の岩手国体でもしっかり成績を残して来年の本番に挑みたいところだ。
成年の部の愛媛県では、泉武志(一宮グループ)、花山和寛(自衛隊)という昨年の世界選手権代表がいて、今年5月の全日本選抜選手権では梅野貴裕(愛媛・八幡浜工高教)が優勝するなど、駒が十分にそろっている。
一方の少年は7年間も全国王者が出ていなかった。栗本監督は「2位が多かった。やっと久々に勝てました」とホッとした様子。久保は今年度で卒業してしまうが、これで少年の部も盛り上がってきたことは間違いない。久保自身も「愛媛国体の強化の波に乗って、強くなれましたし、今回も勝てました。まずは、岩手国体でしっかり優勝したいです」と、9月の国体でも活躍を誓った。
優勝を決め、栗本監督に駆け寄る久保 | |
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