「格闘技は肉体と精神の勝負」と強調した福田富昭会長
また、警視庁の現職警視に来場を請い、スポーツ界を揺るがせている闇賭博についてや、闇賭博の末路についてなどの講義を実施。闇賭博の危険性を周知徹底させた。
■「強い選手は精神力が強い。自信を持つことが大事」…福田富昭会長
福田会長は、最初に「あいさつ」の重要性を訴え、試合会場、練習場、ふだんの生活を問わず、きちんとあいさつできる行動を求めた。そのあと、「器具を使わずに闘うレスリングは、心が下がったら絶対に勝てない。肉体の闘いである以上に精神の闘い、心が下がったら相手に伝わってしまう」と話し、勝つためには何よりも精神力が必要なことを話した。
オリンピックでは、ぽっと出の選手が優勝したことも少なくないが、それは「精神力で負けなかったから」と説明。「恐怖心はだれもが感じること。しかし、相手も同じように恐怖心を持っている。強い選手は精神力が強い。自信を持つことが大事。スパーリングでは、ばててもいいから攻め続けろ。どこまで限界を伸ばせるかを試してみろ」と熱く語った。 合宿中の3スタイルの選手とコーチが参加した
栄和人強化本部長は「3スタイルの選手とコーチを集めて熱き思いを話していただいたことに、会長の熱意を感じた。しっかり受け止めたい。攻める勇気、練習の追い込む勇気、ばてることを恐れない勇気をもって闘うことの重要性を感じた。選手も多くのことを感じてくれたと思う」と話した。
男子フリースタイル74kg級の高谷惣亮(ALSOK)は「レスリングは肉体の闘いである以上に精神の闘い、という言葉が印象に残った。日本選手は、肉体面はしっかり鍛えている。勝つためには、その先にある精神の強さが必要だということを、あらためて感じた」と言う。
■闇賭博は、命をかけて積み上げてきたものが一瞬にして崩れて奈落の底に落ちる
そのあと、世田谷警察署の高梨武警視と警視庁生活安全部の前嶋久芳警視による賭博についての講義がスタート。日本では公営ギャンブル(パチンコや競馬など)以外の賭けごとは認められていないことや、どういう闇賭博が行われているか、どういう経緯で足を踏み入れることが多いかなどを説明。闇賭博そのものは「50万円以下の罰金」で、懲役などの刑罰はないが、それだけでは済まない失うものの大きさを説明した。 闇賭博の危険性を説明する高梨武警視と前嶋久芳警視(右)
自分だけではなく、家族の人生にまで影響するとし、「勝ったイメージがつきまとうから続けてしまうが、代償は計り知れない」と強調した。女性はあまり縁がないように感じるが、最近はカップル席なども用意され、男性に連れられて深みにはまってしまうケースもあるとの実話も話した。
最近の事件で、「勝負の世界に生きているので、ギャンブルというものに興味があった」との発言があったが、元柔道選手で1988年京都国体ではレスリングのフリースタイル100kg級に東京都代表で出場している高梨警視は「スポーツとギャンブルは目的が違う」と話し、スポーツは努力で勝利を引きつけるものであることを強調した。
男子グレコローマンの西口茂樹・強化委員長(拓大教)と男子フリースタイルの和田貴広・強化委員長(国士舘大教)は、成人選手にとっては違法でなくともギャンブルには手を出さないことを望んだ。西口委員長は「たばこを吸わない人間は、大麻を吸うことはない。パチンコをしない人間は、闇カジノをするわけがない」と、和田委員長は「親の仕送りや奨学金で生活している学生選手なら、パチンコで金を浪費するべきではない」と話した。
ギャンブル、酒、たばことは縁がない高谷は「レスリングにマイナスになることは一切しません。お金はコツコツ貯めたい。闇賭博には絶対にはまりません」ときっぱり。